プロデューサーズ

ミュージカル映画には目がない相方に連れられて予備知識なしに見てきました。
ブロードウェイを舞台にした、ミュージカルコメディ。
時代は1960年頃。いわゆる「古きよきアメリカ」かつてはブロードウェイの帝王で今は最低の落ち目のプロデューサーと、少年の頃ブロードウェイプロデューサーに憧れた今はただの働き蟻な会計士の出会いから、物語は始まる。
二人は出資者から金をしこたま集めて、それ程予算をかけずに、最低の脚本・演出・役者で上演し、一晩で打ち切りにし、配当を払わず、集めた資金を持ち逃げしようという計画を立てる。

芝居をやっていた人間としては、いくらコメディとはいえ、こんな話のままワハハと終わったら正直後味悪いなと思って見ていましたが、そんなことはなくショーは成功。
それはそれで主人公のたくらみはうまくいかずなんだか腑に落ちないなと見ていたら、そうもならず、にうまいこと、二人そろって「プロデューサーズ」としてブロードウェィに返り咲きました。めでたしめでたし。

この話、元々は映画としてできたものらしい。それを、舞台で演って、今回また新しい映画となったと。
ミュージカルの作劇上でも、観劇上でも良い点は感情の表現と時系列の省略と事象のイベント化だと思う。
主人公の一人である「元・ブロードウェイの帝王」マックスは、老い先短い老婆に春を売って資金を稼いでいるのだが、今回の資金集めでは物語上ニューヨーク中の老婆と寝たことになっている。
マックスもいい年のオッサンである。とても一晩では無理だし、シーンとして絵的にもだれも喜ばない。科白だけで表現するといかにも空ぞらしくなってしまう。
この作品では、数十人の老婆と、青空の公園の下、歌って踊って、フリの一つとして歌いながら順にドル札を受け取っていくだけで、うまいこと表現している。
これはミュージカルでしかできない消化の仕方だと思うし、これを唐突だといって楽しめない人はミュージカルは無理なんじゃないかなぁと思う。

あと、この手のコメディは、言葉を使ったジョークが多いので、字幕を読んでても「きっとここが面白いんだろうな」っていう訳しかついてなくて寂しかった。
韻を踏んでいたり、訛りをおちょくっていたりとかは中々ネイティブが通じるようにならないとわかりにくいよね。

ムーランルージュみたいな絵的な美しさはなかったけど、シカゴに垣間見たブロードウェイの匂いを感じられる面白い作品でした。
ブロードウェイ見たことないけど。