自衛隊の話


昨日は夕方からバイトに行って帰りが12時過ぎになってしまって、遅い夕食を一人テレビ見ながら摂っていたわけですが、たまたま点けていたNHKで「ある部隊の4ヶ月」と称して陸上自衛隊の密着ドキュメンタリーがやっていました。


途中から見たのですが、内容は昨年の秋頃から今年の年始頃迄の間の東北の部隊での訓練の様子と(おそらく現場の指揮官になるだろうと思われる)幹部への座談会式のインタビュー。
ほぼ時間の流れにそってナレーションを最小限に抑えての構成でした。
僕が見ていたのは昨年末の頃のVTRで、すでに自衛隊の派遣が決定され、旭川の部隊が派遣されるという内定まで出ている頃からでした。


訓練はより実戦を想定したものとなり、ほかの部隊ではアメリカ軍とも模擬演習のようなものを行ったり、戦地での救急医療の訓練などもやっていました。隊員の多くは現場に立って実際命の危険があったときに本当に自分や仲間の身が護れるのかどうか、不安な様子でした。また、指揮官も「撃て」という指示が的確に行えるのか、また部下を人殺しにしてもよいものかどうか、迷っていました。
現行の自衛隊法では勿論自衛隊員は戦闘行為は行えませんから、正当防衛以外での威嚇を除いた射撃は禁止されており、もし行った場合は日本で刑事罰が与えられるそうです。また正当防衛の場合でも正当防衛であるという証拠が必要で、過剰防衛、誤想防衛は罰せられるそうです。
当然どのケースが良くて、どのケースが悪いのかなど難しい判断が要求されてきます。
撃たないに越したことはないのですが、テロリストの潜伏はありますし、現にアメリカ兵は何名も亡くなっています。


インタビューの中で「もし自分たちが行くことになったら?」という主旨の質問に対して、色々な答えが出たのですが、僕がもっとも印象に残ったのは
「世界の平和を守りに、助けに行くのだからがんばりたい」
という答え。
先に書いたように、命と隣り合わせなだけではなく、自分や部下、仲間が人殺しになるかもしれないのに、正義の味方として向かう自衛隊員。
素直に感激して、カッコイイと思いました。


昨年のクリスマス、彼らは30年間交流のある養護施設に例年通りにプレゼントを持って慰問に行きました。施設の職員と隊員で作るいつも通りのクリスマス会なんだと思います。子供たちははしゃいで、喜んでいました。
隊員の皆さんは子供たちにせがまれて歌を歌っていました。


「この人達は、こういう、弱くて、幸せな人達を護る為に、今まで訓練してきたのだな。そういう人達が、今まさに戦地に行くのかもしれないな。万が一亡くなるのかもしれないな。」
と思ったときに目頭が熱くなりました。
それは、隊員の方がかわいそうとか、そういう安っぽい感情ではなくて、その任務を誇りに思って受け入れている人達を僕が凄いと思ったからなんだと思います。なんか、うまく言えませんが。


蛇足
自衛隊=軍隊=戦闘集団か何か」のように考えている人がなんだか多いような気がします。「自衛隊<=軍隊」というのは否定はしませんが、自衛隊は戦闘集団ではありません。PKOなどの海外活動だけではなく、国内での災害救助も自衛隊の大きな任務です。毎年のようにやってくる大型台風や、近年増えた豪雨、数年に1回は全国のどこかで起こる大地震の救助や復興、配給などは自衛隊の仕事が大きなウェイトを占めています。
自衛隊の機動力、組織力、その他複合的なスキルは特に災害復興では大きな助けになります。
医療、インフラ整備もできて、危険な場所で自力で身を護ることができるのは日本では自衛隊だけなんです。
蛇足ですけど、どうしても言いたかったので。