MISSING:本多孝好

ISBN:4575508039

漫画ばっかり読んでるんじゃなくてたまには本も読んでます。僕は広義でいうところのミステリしか基本的に読まないんですけど、なかなか作家の開拓が難しくて(2作以上読んだのは乙一宮部みゆき貴志祐介の3人のみ)相方に薦めてもらったのの1冊が本多孝好はMISSING。

綾辻行人とか法月綸太郎みたいな本格ミステリっていうよりかはちょっと不思議だったりする出来事のなかで普通の登場人物がどんな反応するのかとかが見てて楽しいというのが上の作家さんたちの好きなところでしょうか?と、言っても綾辻法月も読んだことないのでなんとも言えませんが。(法月綸太郎は短編集を積ん読中)

さて、本多孝好さんですが、読んでみた感じ、文章が硬い気がします。非常にわかりやすくて読みやすいのだけど、理系的というか説明的に書いてあるので読んでいて疲れる。短編じゃないと集中力が持たない気がします。ただし、理系脳の僕にはその分のめりこめたんじゃないかなぁとも思えます。また、MISSING掲載作品のすべてが死んだ人を題材にしたちょっと不思議な話や、迷惑な話。死んだ人が生きている人にどれだけの影響を与えるのか、いつまでも響き続けるのか、ということが書かれています。掲載作の一つの登場人物の中の一人の老婆が主人公である孫に向かって作品の終盤にこう言うんです

「偲んでくれることさえ、私らは期待しちゃいけないのかねぇ」
「一人で死ぬことなんてちっとも怖くない、だけど、ねぇ、1年に1度でいい。1分でも、1秒だっていい。自分が死んだあと、生きていた日の自分を生きている誰かに思い出して欲しいと願うのは、そんなに贅沢なことなのかい?死んだ途端に、はい終わりじゃ、だって、あんまりにも寂しいじゃないか。」

当たり前なのかもしれないけど、死は終わりじゃなくて残った生きている人にとっては当然、死んだ人にとっても通過点に過ぎず、意思というか、そういうのは行き続けるって作者は考えてるのかなぁ?だとしたら、理系的な文章の反面ずいぶんとあったかい人なのかもしれない。